スペースデブリ除去に向けてアストロスケール社・SSTL社が協業を発表

スペースデブリ(宇宙ごみ)問題に取り組むASTROSCALE PTE. LTD. (本社:シンガポール、創業者兼CEO:岡田光信、以下「アストロスケール」)と英国衛星開発メーカーのSurrey Satellite Technology Ltd(本社:ギルフォード、会長:Martin Sweeting卿、以下「SSTL」)は、この度、両社の協業に関わる覚書(MOU)を締結しました。本覚書は、革新的な軌道上技術実証における協業や将来の軌道上環境保全を見据えた人工衛星の設計・構築に関わるものです。

アストロスケールSSTL MoUおよび契約署名600x393(1)
左から:岡田光信、アストロスケール創業者兼CEO、Martin Sweeting卿、SSTL会長

アストロスケールとSSTLは、拡大する小型衛星市場やスペースデブリ除去市場において、国際的な競争力を高めるべく、長期で戦略的な連携に合意しました。日本市場においても、両社協力し、画期的なスペースデブリ除去プロジェクトの開拓や、競争力のある小型衛星の提供を行なっていきます。具体的な第一弾として、アストロスケールは、故障等によりスペースデブリ化した人工衛星に対する軌道上離脱・除去サービス(End-of-Life Service)の初の軌道上実証衛星(ELSA-d)において、宇宙ごみを模擬した人工衛星「ターゲット」をSSTLが供給する契約を締結しました。

アストロスケールは、今年初め英国ハーウェルに子会社を設立し、オフィス機能・管制局を備えることを皮切りに、英国における長期的な事業展開を検討しています。本連携により、今後のサプライチェーンの構築を含む、更なる投資も視野に入れています。

アストロスケール創業者兼CEOの岡田光信は、以下のように述べています。「ELSA-dのミッションに、SSTLが戦略的なパートナーとして参画することを非常に楽しみにしています。SSTLといえば、小型人工衛星の世界では信頼性・費用対効果の高さを象徴する存在であり、ELSA-dへの重要な構成機器の供給は、アストロスケールとSSTLの長期的な関係構築の重要な第一歩と言えるでしょう。」

SSTL会長のMartin Sweeting卿は、「SSTLは志を共にする、アストロスケールとの協業をたいへん喜んでいます。アストロスケール社は宇宙ビジネスが持続的に成長していけるよう取り組んでおり、その革新的技術による具体的なスペースデブリ問題解決策は、持続可能な長期宇宙環境保全の確保に向けた費用対効果の高いものとなるでしょう。」と述べました。

スペースデブリ除去実証衛星のELSA-dは、捕獲機のサービサーと宇宙ごみを模擬したクライアントから成り、軌道上でのランデブー・ドッキング(飛行・接近)、近接接近の技術実証実験を行います。アストロスケールは、東京のR&D拠点で、SSTLの一部電子機器を用い、捕獲機の設計・製造に取り組んでいます。捕獲機には、光学センサーや冗長性のある捕獲機構が搭載されています。

今後数年以内に、小型人工衛星のリモートセンシングの活用やデブリ除去市場の著しい成長が予測されており、アストロスケール・SSTLの長期にわたる戦略的な連携の合意は、事業上優位となるだけでなく、将来の世代へ良い影響を与えるものです。

本プレスリリースに関する画像素材は、以下よりダウンロード下さい。 www.sstl.co.uk /Press/SSTL-and-Astroscale-team-up-for-Orbital-Debris-Rem

ELSA-d 捕獲機 (サービサー)について: 出典「アストロスケール」
クライアント(宇宙ごみを模擬した小型人工衛星)と捕獲機(サービサー)は、共に取り付けられた状態で打ち上がり、その後軌道上で分離します。軌道上では、三度の複雑な実証実験を行い、ランデブー・ドッキングのアルゴリズムを用いた、分離・捕獲の実証実験を行います。クライアントに搭載された光学マーカーの金属板により、捕獲機がターゲットを識別し、ドッキングの際の姿勢予測が可能となります。

ELSA-dのクライアント衛星について:出典「SSTL」
SSTLが供給するクライアント衛星は、Sバンド通信、GPS予測、3軸制御システム、レーザーレトロリフレクターを搭載しています。SSTL-42は、5-100kg級の運用ミッション向けに設計されたシリーズで、HDカメラや一連を補足・記録できるようなライトも搭載しています。

備考
• SSTL-42は、実証ミッションへの基盤・技術面の最適なサービスを提供し、コア技術・航空ソフト開発への展開、さらなるミッションやコンステレーションの為の大量生産も対象としています。
• SSTLは、2018年に国際宇宙ステーション(ISS)でのスペースデブリ緩和の技術実証実験を予定する、RemoveDEBRISプロジェクトにも供給を行っています。
• SSTLはこれまで50もの人工衛星を打ち上げており、アストロスケール向けの超小型衛星は、SSTLにとって67番目の契約になります。
• SSTLは、低軌道(LEO)で人工衛星サービスを運用する民間事業者に、サプライヤーを牽引する立場から人工衛星の基盤・サービスを提供しています。これまで供給を行った人工衛星は以下の通りです。Beijing-1, the 5 satellite RapidEyeコンステレーション、Deimos-1、exactView-1、KazEOSAT-2、the 3-satellite TripleSat コンステレーション。


Surrey Satellite Technology Limited (SSTL)について
www.sstl.co.uk

 

英語のプレスリリースはこちらからご覧ください 。