宇宙の持続可能性に革命をもたらす: アストロスケール、専門家コンソーシアムを率いてADR燃料補給ミッションに関する英国宇宙庁との契約を獲得
宇宙の「ロードサービス」企業として、燃料補給を含む軌道上サービスを通じて衛星軌道を整備し、持続可能性と効率性の確保に取り組む。
軌道上サービス(IOS)と衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去(EOL)サービスのグローバルリーダーである株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼CEO 岡田光信、以下「アストロスケール」)の英国子会社であるAstroscale Ltd.(以下「アストロスケール英国」)はこの度、英国宇宙庁(UKSA)によるデブリ除去(ADR)の燃料補給研究を落札したことをお知らせいたします。
200万ポンドを投じたこの英国宇宙庁の研究プログラムは、衛星産業を変革して宇宙運用をさらに持続可能にするというミッションの達成に向けた大きな一歩です。この研究は英国初のADRミッションの燃料補給に焦点を当てたもので、アストロスケール英国は2社目の商用クライアント(未定)に加えて、デブリ除去研究プログラム「COSMIC」の捕獲機(サービサー)開発の契約を英国宇宙庁と締結しています。この契約の下、上記ミッションにおける技術的な障害を解消するだけでなく、軌道上経済の発展に継続的に取り組んでいます。
COSMICのADRミッションの達成に向け、アストロスケール英国は英国に拠点を置くパートナー企業10社以上と提携。これによって英国の雇用創出と経済成長に貢献し、英国政府による地域活性化の取り組みを支援していきます。全軌道における軌道上サービスに専業で取り組むグローバル企業のアストロスケールにとって、燃料補給機能を装備することは多彩なサービスと専門性を発揮する機会となります。
この新規プロジェクトに向けて、アストロスケール英国はこの研究を担う、業界をリードするチームを編成しました。今後、アストロスケールのELSA-MプログラムとCOSMICプログラムにおける英国のサプライチェーンの既存関係を戦略的に活用して燃料補給ミッションを実行に移し、ADRに携わる英国の事業体が最大限の利益を得られるよう努めていきます。主な提携企業は以下のとおりです。
● Thales Alenia Space英国:宇宙推進に関する世界的な専門技術で知られる企業。サービサーの燃料補給サブシステムの設計を指揮します。
● Airbus Defence and Space英国:複雑な宇宙ミッションの運用管理における世界的なリーダー。燃料補給サービサーのアームを開発するために、英国スティーブニッジの重要拠点を基盤に先進的な宇宙ロボット技術の評価を実施します。
● Orbit Fab英国:宇宙での燃料補給ミッションの標準を確立する世界的なリーダー。本ミッションの要件に対応すべく、同社のGRASP(Grappling and Resupply Active Solution for Propellants)に必要な修正を施す予定です。
● GMV英国:地上運用の専門知識を生かして、マルチミッションの飛行力学を徹底的に追究し、本ミッションの運用を強化します。
アストロスケールは、地球の全軌道の長期的な持続可能性を確保することに注力しています。また、今回の燃料補給可能性研究とCOSMICミッションを通じて、衛星産業を使い捨てミッション型から脱却させて、再利用とアップグレードが可能なモジュール型のプラットフォームへと転換させる方法を実証することを目指しています。これが実現すれば、ミッションの期間を延ばし、貴重な国内インフラを保護して、軌道上サービス市場(ISOM)全体の新しい可能性を切り開くことが可能になります。
アストロスケール英国のマネージングディレクターであり、UKspaceのIOSM委員会の議長も務めるニック・シェーブは、次のように話しています。「英国宇宙庁の燃料補給可能性研究を落札できたことは、これまで以上に環境に配慮した持続可能な地球の未来を実現するための大きな一歩です。当社が目指すのは、専門家コンソーシアムと協力しながら軌道上での燃料補給のパイオニアとなり、宇宙ミッションの期間を延ばすことの可能性と価値を実証することです。アストロスケール英国は、宇宙をめぐる重大な課題を解消し、次世代のために宇宙の安全性を高めることに尽力しています。今回の燃料補給実証プロジェクトは、新しい軌道上サービス市場における成長と戦略的リーダーシップに貢献するはずです。今後も英国宇宙庁と連携して、持続可能な宇宙環境を作り出すという共通の目標の達成に取り組んでまいります。」
また、英国宇宙庁のスペースサステナビリティ責任者であるレイ・フィールディング氏は、次のように話しています。「最近まで、人工衛星は使い捨てを前提に設計されていました。燃料補給はできず、衛星が活動限界を迎えた時点でミッションも終了していたのです。英国宇宙庁では、アストロスケールの適応型COSMIC宇宙機のようなイノベーションに投資することで、燃料補給などの軌道上のタスクを実施するための新しい機能を開発し、宇宙運用の持続可能性を強化していきます。」
Airbus Defence and Spaceのスペースシステム(英国)担当SVPのパトリック・ウッド氏は次のように語ります。「軌道上の燃料補給は宇宙で行う最も困難なタスクの一つですが、より持続可能な宇宙運用の実現に大きなメリットをもたらします。英国の宇宙エコシステム全体をさらにサポートして拡大するため、当社は専門知識を生かしてこの研究に取り組み、最新の宇宙ロボティクスと宇宙機推進システムの開発に取り組んでまいります。」