アストロスケールの商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」、デブリへの接近を開始

投稿日: 2024 年 2 月 22 日 カテゴリー:ニュース

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼 CEO 岡田光信)の子会社で人工衛星システムの製造・開発・運用を担う株式会社アストロスケール(本社:東京都墨田区、代表取締役社長 加藤英毅、以下「アストロスケール」)は、日本時間2月18日深夜に打ち上げられた商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ、Active Debris Removal by Astroscale-Japan の略)」のミッションにおいて衛星の初期運用を終え、日本時間2月22日の20時頃、世界初となるデブリへの接近を開始したことをお知らせいたします。

運用を終了した衛星等のデブリは非協力物体であり、外形や寸法などの情報が限られるほか、位置データの提供や姿勢制御などの協力が得られません。よって、その劣化状況や回転レートなど、軌道上での状態を把握しつつ当該デブリに安全・確実にRPO(ランデブ・近傍運用)を実施することは、デブリ除去を含む軌道上サービスを提供するための基盤となります。ADRAS-Jは実際のデブリへの安全な接近を行い、デブリの状況を明確に調査する世界初の試みです。具体的には、大型デブリ(日本のロケット上段:全長約11m、直径約4m、重量約3トン)への接近・近傍運用を実証し、長期間軌道上に存在するデブリの運動や損傷・劣化状況の撮像を行います。

ADRAS-Jはまず、自身に搭載するGPSと地上からの観測値をもとに、スラスタ等を駆使してデブリに接近していきます(絶対航法)。そして一定の距離に達すると、衛星搭載センサを駆使する相対航法へ切り替え、対象デブリとの距離や姿勢などさまざまな情報をもとに、安全にさらに距離を詰めていきます。また、センサのシームレスな切り替えも高難度かつ非常に重要であり、これは地上で例えると、高速で移動しながら、望遠鏡、双眼鏡、虫眼鏡を切り替えるイメージです。 

軌道上サービス、そして宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)の基礎を築く本ミッションの進捗は随時ご案内してまいります。今後の最新情報にご期待ください。