SSCのベストプラクティスに関するアストロスケールの声明 

Posted 2023 年 4 月 5 日 カテゴリー:ニュース

Space Safety Coalition は、宇宙の安全性と長期的な持続可能性に向けた「実践的な」ベストプラクティスの考案と継続的な改善を目的に発足した連合組織です。SSCのメンバーは、業界および政府の衛星事業者、打ち上げロケットおよび宇宙機のメーカー、SSA企業といった多様な関係者で構成されており、全員がグローバルな宇宙エコシステムの広範囲にわたる利害を代表しています。こうした精力的なメンバーは、私たちの成果の基盤となっています。全メンバーからコンセンサスを得るのは小規模なグループや個々の事業者の取り組みと比べると困難ですが、その結果として成り立つ合意は、その分だけ一層強固なものとなります。アストロスケールは、宇宙にかかわる全関係者がSSCのような団体に参加することを強く促しています。 

地球の軌道における開発活動のペースと規模は、すでに持続不可能な状態になっています。2019年にSSCの最初のベストプラクティスが発表されてからわずか数年で、宇宙をベースとする機能を早急に保護する必要性が明らかになりました。2023年更新版「宇宙運用の持続可能性に関するベストプラクティス」は、宇宙運用の安全性に向けた大きな一歩を示していますが、一部の内容にはさらなる改善が必要であり、無条件で完全に支持できる水準には達していないと私たちは考えています。アストロスケールは、5.a.、7.a.、8.j.の3項目を除き、今回の更新版ベストプラクティスを支持します。 

ベストプラクティスとして、宇宙機事業者は、運用中に放棄された物体の「予測数」だけではなく、「実数」を制限する具体的かつ検証可能な取り組みを進めることが推奨されます。システム信頼性解析には、ミッション後の適切な廃棄に関する%をベースとした目標(第5.a.項に規定)を組み込む必要がありますが、予測に対する実際の達成率も重視する必要があります。アストロスケールは、ミッション後廃棄に関する確約の遵守の監視と評価を強化した開発を支持します。また、廃棄の信頼性に関する%をベースとした目標を、システムの設計や規模に関係なく固定的に適用してしまうと、進化を続ける宇宙システム設計が環境にもたらす影響の違いに応じて廃棄計画の施策を適切に拡大していく意欲をそぐことになりかねません。したがってアストロスケールは、ミッション後の廃棄の成功確率については、(5.a.項に規定されている)%をベースとした目標を使用するだけでは不十分であると考えます。 

何より重要なのは、宇宙運用の短期的および長期的な持続可能性のために、事業者によってもたらされるリスクを定量化して制限する徹底的なアプローチが必要だということです。放棄された物体は、衝突リスクにつながる大きな要因であり、追跡不能な危険デブリ(LNT)の発生源です。アストロスケールは、総計リスク指標を適用し、システム全体の衝突リスクを計算して規制することを支持します。したがって、(7.a.項と8.j.項に従って適用される)単独の衛星衝突リスク指標を使用するだけでは不十分であると考えます。 

これらのベストプラクティスは最終的に拘束力を持つわけではありませんが、それでも、この業界の賛同者がその能力の及ぶ限り今回のベストプラクティスを実行に移すことを期待しております。同様に、当社も運営にこれらのベストプラクティスを反映していきます。私たちが望むことは、このような業界レベルの慣例や行動規範が、持続可能な宇宙ガバナンスのための正式な手段、たとえば拘束力のある国内規制、立法手続き、ライセンス要件、技術標準団体などに最終的に組み込まれることです。また、今後も、宇宙領域での運用の進化に伴ってこうした慣例を着実に改善していく必要があります。 

責任ある事業者の間で、宇宙運用の安全性の現状を共同で改善するための議論と交渉がさらに進むことを期待しております。私たち自身のために、そして次世代のために、豊かで活気にあふれる宇宙経済の先駆けとなるべく力を合わせていきましょう。 

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