スペースサステナビリティ(宇宙の持続可能性)- 行動する時

2022年2月1日 投稿ニュースで投稿

英国チャールズ皇太子殿下がスペースサステナビリティを推進する専門家等と地球軌道の環境保全についてディスカッション

2022年1月31日オックスフォードシャー州ハーウェル: アストロスケール英国の:ELSA-dミッション管制センターをプリンス・オブ・ウェールズ殿下(チャールズ皇太子)が午後に御訪問され、次世代への安全で持続可能な宇宙環境の継承をビジョンに掲げる当社取組みをご説明しました。 OneWeb社やSatellite Applications Catapult、ビジネス・エネルギー・産業戦略省のジョージ・フリーマン科学研究革新大臣、英国宇宙庁(UKSA)CEOのポール・ベイト氏等とチャールズ皇太子御一行は、 ELSA-dミッション管制センターを訪問し、アストロスケールの若手エンジニアらと懇談し、国際宇宙ステーション(ISS)で活動をする宇宙飛行士や人工衛星に壊滅的な被害を与え兼ねない、スペースデブリ(宇宙ごみ)の危険性やその解決策を説明しました。

アストロスケール英国社長のジョン・アーバンは次のように述べています。 「チャールズ皇太子をお迎えし、官民リーダーが地球環境の延長線上として、宇宙環境の展望について話し合えたことを光栄に思います。宇宙開発を担う私たちは限りある資源を安全に利活用し、暮らしを支える宇宙のインフラである人工衛星のサービス等を気候変動へのモニタリングの観点からも守り続けなければなりません。政府機関、産業界、社会そして次世代の為にも、今こそ宇宙環境のための行動が必要です。」

チャールズ皇太子は、「この惑星を汚すだけでなく、宇宙の環境マネジメントについて合意することも役立つのかもしれません」と滞在中発言されました。

アストロスケールは2021年3月に打ち上げた、デブリ除去実証衛星「ELSA-dミッション(エルサディー、End-of-Life Services by Astroscale – demonstrationの略称)」により、宇宙空間上で、運用停止もしくは終了した人工衛星を取り除くコア技術の実証を行なっており、英国政府からの補助金を活用し、オックスフォードシャー州ハーウェルにあるSatellite Applications Catapult内の国立軌道上サービス管制センター、で現在運用を続けています。

「まるでSFのことのように聞こえるかもしれませんが、現実に起きていることです。」とジョン・アーバンは続けます。「チャールズ皇太子殿下にELSA-dミッションに携わるエンジニアチームとお会い頂きました。チームは現在、捕獲衛星(サービサー)と模擬デブリ(クライアント)の運用最中で、今後の捕獲に向けて鋭意準備中です。」

欧州宇宙機関(ESA)は、欧州宇宙機関(ESA)は、総量9,800トン以上、内、2,840機以上の人工衛星故障機を含むスペースデブリが現在運用中の5千機の衛星やISSへの衝突などの危険性をはらんで周回していると推定しています。

「ティム・ピーク宇宙飛行士が以前話して下さったことが忘れられません。宇宙での活動中、唯一ピーク宇宙飛行士が恐怖にかられたのは、スペースデブリの宇宙ステーションへの衝突だったと言います。ピーク宇宙飛行士だけはありません。最近では、ロシアによる衛星破壊実験(ASAT)によりさらにデブリが発生し、7名の宇宙飛行士がISSでの一時避難を余儀なくされています。」とジョン・アーバンは続けました。

OneWeb社CEOのニール・マスターソン氏は、「チャールズ皇太子殿下にスペースサステナビリティに関しての話し合いにご参加いただけたことを大変光栄に思います。宇宙は限りある共有資源で、生活様式や働き方、繋がりをも大きく変えてしまうものです。」とスペースサステナビリティに対する意気込みを語りました。

いまや環境や経済、社会等へ欠かせない人工衛星データ。その世界的需要の高まりは、宇宙へ持続可能な形で軌道上での衝突の危険性なく安全にアクセスできるかという点に影を落とします。昨年9月に発表された、英国の国家宇宙戦略では、宇宙産業が優先課題として、戦略的にスペースサステナビリティへの課題に取り組むことの重要性を強調しています。

今年には産業界が率いるグループ「Space Scotland」が中心になり、持続可能な宇宙の課題に取り組む活動(Sustainable Space Challenges initiative)を通じてネット・ゼロに取り組みました。環境団体や各地グループ、学校、コミュニティへ環境問題としての宇宙の状況、解決策について呼びかけたほか、活動の成果や意見等はESAをはじめ、テキサス大学オースティン校、UKSA、アストロスケール、ニコラ・スタージョンスコットランド首相等の国際パートナーにも共有、また、さまざまなステークホルダーが産業界で手をとることや他業界とのパートナーシップ構築、宇宙業界の持続可能な方法での成長を模索する等の方法についても話し合われました。

スペースデブリ除去の技術開発の推進は、宇宙セクターにおける英国のグローバルな立ち位置を強固にする機会でもあり、さらにはスペースサステナビリティを推進し、ネット・ゼロスペース宣言に貢献できると考えています。軌道上サービスや製造は UKspace TradeAssociationを介して定期的に開催されるグループによって英国で推進されています。英国の宇宙経済圏では、このセクターが大きな成長可能性を秘めており、このUKSAによるレポートでもその点が強調されています。軌道上サービスは急成長を遂げる分野で、2030年までに世界で40億ドルの成長市場と言われています。英国は全体市場の1/4以上を先行者利益として獲得したい考えです。

Satellite Applications Catapultスチュアート・マーティンCEOは、「英国では軌道上サービス・製造の分野の転換点を迎えています。現在でもAirbus社やSSTL社、アストロスケール社、D-Orbit社、クリア・スペース社など多くが技術開発を行なっています。技術力や事業成長をさらに加速させるには、産業、アカデミア、政府機関、国際的なアライアンスなど、強固なパートナーシップが重要となるでしょう。」と述べていました。