スペースデブリ除去を支援する軌道上サービス管制センターを英国に建設

投稿日 2018年7月24日 カテゴリー ニュース

スペースデブリの除去により長期的な宇宙飛行の安全性確保に取り組む国際的な成長企業、アストロスケールの英国拠点であるAstroscale Ltd (以下、アストロスケールUK)は、オックスフォードシャー州ハーウェルにある Satellite Applications Catapult 内に、軌道上サービス管制センターを開設するための助成金400万ポンドを英国政府から取得しました。この新しい施設は、厳しい宇宙環境での高度なロボティクス活動をサポートし、特に小型衛星の軌道離脱を行う商用サービスの提供を可能にします。

この新しい施設の最初の仕事は、アストロスケールの先駆的なELSA-dミッションを管制することです。ELSA-dは、アストロスケールによるEOLサービスELSAで使用するランデブ、捕獲、軌道離脱といったコア技術を実証する初のプロジェクトです。ELSA-dは、捕獲機(サービサー)とデブリを模した人工衛星(クライアント)の2基の衛星で構成されています。サービサーには、クライント衛星のドッキング・プレートに接続される光センシング機器と、捕獲メカニズムが搭載されています。捕獲後、サービサーとクライアントは一緒に軌道を離脱し、地球の大気圏に再突入すると燃え尽きます。

4,500基を超える衛星が地球を周回し、グローバルな通信や測位機能などの重要なサービスを提供しています。すでに過密状態にある軌道へも含め、今後10年間で15,000基以上の衛星が打ち上げられると予想されています。放置されているスペースデブリと稼働中の衛星が衝突すれば、世界規模でビジネスおよびセキュリティ上のリスクを引き起こし、それが連鎖的に軌道を持続不可能にするかもしれないという懸念が高まっています。この問題は、2017年8月に日本と英国の政府がスペースデブリ低減に関する協力を強化するための覚書に署名したときに浮き彫りにされました。

アストロスケールの創業者兼CEOである岡田光信は次のように述べています。「アストロスケールは、次世代のために軌道の持続可能性を確保できるよう、スペースデブリの除去を目指して取り組んでいます。軌道上サービス管制センターは、私たちのミッションの重要な要素となります。Satellite Applications Catapultとこの革新的なパートナーシップを結べることになり嬉しく思います。完成したサービス施設は、スペースデブリの除去だけでなく、軌道上衛星サービスやその他の自律型ロボティクスの活用もサポートします。」

Satellite Applications CatapultのCEOであるStuart Martin氏は、次のように述べています。「この新しい施設は国力を増強し、英国企業がスペースデブリの除去、軌道上衛星サービス、その他の自律型ロボティクスの応用の可能性を開拓できるようにします。アストロスケールとのパートナーシップは素晴らしい可能性に向けた第一歩です。先進的な衛星コンステレーションの複雑なニーズを満たすために、拡張性があり、状況に応じた機能を何度でも提供し、運用施設の全国ネットワークの一部を担って行きます。私たちの究極の目標は、この革新的な施設を英国中の企業がアクセスできるものにすることです。」

イノベートUKの暫定会長であるIan Campbell博士は、次のように述べています。「アストロスケールが主導するこの重要な施設は、Satellite Applications Catapultの世界レベルの能力の上に構築されており、英国の宇宙および衛星産業にとって重要な投資となります。これはまさに、英国政府の掲げる産業戦略チャレンジ『より安全な世界のためのロボティクス』(Robots for a Safer World Industrial Strategy Challenge)が目指すビジネスと成長を後押しするための業界主導のコラボレーションなのです。」

運用システムの一部として、新しいセンターは、最近の先駆的なロゼッタミッションで使用された欧州宇宙機関(ESA)の最先端ソフトウェアとテクノロジーの高度なアルゴリズムを使用します。このような貢献のお陰で、新しいセンターは世界をリードする施設となり、業界が軌道上衛星サービスの潜在的な市場を獲得できるようになります。助成金は、重要な産業や社会の課題に取り組む革新的なビジネスを支援する、英国政府による産業戦略チャレンジ基金を通じて獲得しました。