G7首脳が宇宙の持続可能性に関する共同声明を発表

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(以下、宇宙ごみ、デブリ)除去サービスを含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼 CEO岡田 光信、以下「アストロスケール」)は、英国コーンウォールで13日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)において発表された宇宙に関する共同声明を支持します。

このG7共同声明においては、日本、米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国そして欧州連合(EU)の首脳が、安全および持続可能な宇宙利用の重要性を認識し、全ての国に対して、次世代のための宇宙環境の保全と、宇宙交通管理(Space Traffic Management)の実現に向けた協働の重要性を呼びかけています。

アストロスケール創業者兼CEOの岡田光信は、以下のように述べています。 「今回のG7の宇宙の持続可能性に関する共同声明は、宇宙環境を保護するために、デブリ除去や軌道上サービスに係る官民の取り組みを歓迎し、その重要性を認めるものです。 G7が安全で持続可能な宇宙利用を取り上げたことは、この課題について国際社会が一丸となって対処すべきとの合意形成の現れと認識しています。今般の共同声明をきっかけに、宇宙活動に関する共通ガイドラインの策定や商業的なデブリ除去や軌道上サービスの実現に向けて、日本を含む各国がより積極的に具体的な取り組みを進めることを期待します。」

欧州宇宙機関(ESA)によると、運用終了した衛星やロケットの上段などの最も危険な物体を含め、宇宙空間にはサイズが1mmを超えるデブリは1億2800万個以上存在すると推測されています。大規模な衛星コンステレーションの勃興は、グローバルな通信環境や接続を可能にするものですが、同時に軌道環境悪化の懸念ももたらします。

アストロスケールの最高営業責任者(CCO)兼アストロスケール英国社長のジョン・アーバンは、以下のように述べています。 「宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティー)がG7のリーダーたちから高い注目を集めていることを大変嬉しく思います。デブリは、政府や衛星コンステレーション運用者にとって非常に現実的な課題となっています。問題解決には、世界的に合意された行動規範に対して国が支援し、官民でのパートナーシップと政治的リーダーシップの下、次世代の為に今すぐに行動に移す必要があります。」

また日本国内では、関係する各府省が連携してデブリ問題に取り組むことを目的とし、2019年から「スペースデブリに関する関係府省等タスクフォース会合」が開催されています。このタスクフォースの下、内閣府が主導し、2020年12月から、軌道上サービスに共通して適用される国内のルールについて議論がなされてきました。今年5月に開催された第5回会合においては、「軌道上サービスに共通に適用する我が国としてのルールについて」および「軌道上サービスを実施する人工衛星の管理に共通に適用するルール案」の内容が共有されました。具体的には、今後、政府における必要な手続きを経た上で、軌道上サービスを行う人工衛星の管理の許可申請に関する審査基準を解釈・運用する要領としての整備やこれを含むガイドラインとしての公表が予定されています。本議論には、アストロスケールも事業者の立場から参画し、ルール案の作成に貢献しました。引き続き、日本政府が軌道利用やデブリ問題に関して産官学の取り組みを積極的に進めることを期待するとともに、こうした国内のルールが国際的ルールとして形成されていくことを期待します。

アストロスケールは、スペースサステナビリティーを実現するために複数のサービスを開発しています。今年3月に打上げ・軌道投入に成功した、アストロスケールのデブリ除去技術実証衛星ELSA-d(エルサディー、End-of-Life Services by Astroscale – demonstrationの略)は、現在低軌道(LEO)で運用を続けており、この夏、ランデブ・近傍運用、分離・捕獲といった、一連の複雑な実証実験を行います。また先月は、2024年までのデブリ除去サービス商用化に向け、OneWeb社をパートナーに、英国宇宙庁(UKSA)より技術革新加速のための資金を受け取ったことを発表しました。その他、2022年度までに打上げが予定されている、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証プロジェクト(CRD2プロジェクト)のフェーズⅠや、アストロスケール米国と子会社のアストロスケール イスラエルが研究開発を進める、静止軌道での衛星寿命延長サービスがあります。長期的かつ持続可能な宇宙開発を実現できるよう、アストロスケールは引き続き技術、ビジネスモデル、法規制に取り組んでまいります。