アストロスケール、世界初の商用デブリ除去衛星を製造する新しい英国施設を開設

Posted 2022年09月28日 Posted inニュース

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼CEO 岡田 光信、以下「アストロスケール」)の100%英国子会社であるAstroscale Ltd. (以下「アストロスケール英国」)は本日、英国オックスフォードシャー州のハーウェルサイエンスアンドイノベーションキャンパスに、新しく衛星の製造と運用施設「ゼウス(Zeus)」をオープンしました。 

英国の宇宙産業は、2000年からおよそ4倍の規模に膨れ上がるなど急速に成長しており、今後10年についても野心的な成長計画を設けています。この新施設において、アストロスケール英国はデブリ除去衛星を製造します。また、今後数年間での商用提供に向け急速に開発を進め、英国の宇宙部門の成長、革新、および製造の可能性にさらに貢献します。 

アストロスケールオープニング ポール・ベイト ニック・シェイブ カットリボン編集
アストロスケール英国社長のニック・シェーブと、英国宇宙庁CEOのポール・ベイト氏

旧拠点からこのゼウス新拠点への移転により、オフィススペースが900%増加します。広さとしては約 20,000 平方フィートとなり、オフィスの他に高仕様の衛星製造施設や衛星運用センターがあります。 

この新しい英国本社はHarwell Campus Space Clusterの中心にあり、英国宇宙庁、欧州宇宙機関、Satellite Applications Catapult、STFC Rutherford Appleton Laboratory、および多くの主要な業界パートナーなどの近くにあります。この戦略的な立地により、アストロスケールは、英国での新しい雇用、国家能力、世界をリードする施設の創出を通じて、軌道上サービスのサプライチェーンと商業経済の発展をリードすることができます。  

アストロスケール創業者兼CEOの岡田光信は以下のように述べています。 「本日、ハーウェルサイエンスキャンパスに最先端の英国施設をオープンできることを嬉しく思います。この施設は、英国事業の野心的な成長計画をサポートし、パートナーと協力して英国の商用軌道上サービス市場の発展を推進する上で非常に重要な役割を担います。私たちが今行動すれば、将来の世代のために持続可能な宇宙経済を確保できるのです。」  

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公式開会式でのアストロスケールの創業者兼CEOの岡田 光信

英国は、デブリの除去と持続可能性に関する政策と技術開発の両方でリーダーであり続けています。最近の発表としては、2021年のUK National Space Strategy(英国国家宇宙戦略)、英国宇宙庁のコーポレートプラン2022-25、そして2022年6月にはPlan for Space Sustainability(スペースサステナビリティ計画)などがありました。これらは、宇宙ロボティクスと軌道上サービスおよび製造 (IOSM) における英国の先駆者としての優位性を築き上げ、スペースサステナビリティにおける世界的なリーダーシップを確立するという英国政府の取り組みを強調しています。  

英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省のヌスラット・ガーニー科学大臣は、以下のように述べています。 「この最先端の新しい施設で、アストロスケールが英国の宇宙セクターの一員として活躍を続けていくことを嬉しく思います。このオープニングは、偶然にも国家宇宙戦略の1周年に重なります。この施設と、ここで開発される先駆的なデブリ除去技術は、英国全土で宇宙産業を成長させ、雇用を創出するという私たちの目標を達成していることのさらなる証拠です。」

英国宇宙庁CEOのポール・ベイト氏は、以下のように述べています。 「軌道には5,000機近くの運用中の衛星と30,000個以上の追跡可能なデブリがあり、宇宙で安全に運用することはますます困難になっています。英国は、宇宙をより持続可能にするための取り組みを主導しており、アストロスケールなどの企業を支援して、危険なデブリを除去するための革新的な新しいミッションを設計しています。この最先端の施設のオープンによって英国に新たな機能をもたらすとともに、100以上の雇用が創出されるのは素晴らしいです。」  

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アストロスケールZeus 公式オープニングプレート

アストロスケールはアジア(日本、シンガポール)にルーツを持ち、2017 年に英国、2019年に米国、そして2020年にイスラエルにも展開し国際的なリーチを示しました。 この変革段階にある軌道上サービス市場では、政府部門と民間部門の両方の対内投資と英国の投資が引き続き重要です。 

アストロスケール英国社長のニック・シェーブは、以下のように述べています。 「2030 年までに、デブリ除去を含む軌道上サービスを日常的な基盤インフラサービスにしたいと考えています。これには、イノベーションと宇宙技術の境界を押し広げるという私たちの野心を共有する政府や業界の利害関係者と緊密に協力することが不可欠です。将来の世代のために宇宙が安全で持続可能であることを保証する、軌道上経済と高価値の新しい仕事を一緒に作り出すことができます。  

これは、急速に成長している宇宙ビジネスとして、英国でアストロスケールのデブリ除去を含む軌道上サービス衛星を設計・製造する独自の施設を開設する変革の瞬間です。また、ELSA-Mを含む将来の軌道上サービスミッションの運用に関するSatellite Applications Catapultとの長年のパートナーシップを活用するとともに、STFC国立宇宙試験施設の利用を評価する予定です。加えて、これは120名のスタッフを持つアストロスケール英国にとって画期的な瞬間です。多くのスタッフは、最近発表した、英国宇宙庁の、役目を終えた英国の衛星2機を除去するミッションに取り組みます。 

Astroscale Opening Ceremony Speeches
アストロスケール英国社長のニック・シェーブ、Dr Kathy Bass, Deputy Director – Space Strategy and UKSA Sponsorship, BEIS, AVM Paul Godfrey, Commander, Space Command、英国宇宙庁CEOのポール・ベイト氏、アストロスケール創業者兼CEO岡田 光信
アストロスケールZeus のオープニングに Nick Shave MD、AM Harvey Smyth、CEO の岡田 光信参加
RAF Air Marshal Sir Harvey Smyth、CB OBE DFC が、アストロスケール英国社長のニック・シェーブや創業者兼CEOの岡田 光信と共にツアーに参加し、開会式で新しい施設を見学しました。

アストロスケールは、今年と昨年の ELSA-d ミッションによるEOLサービスの運用の成功を祝いました。. ELSA-dは、世界初の商用デブリ除去実証ミッションであり、磁石を用いた捕獲機構や、RPO技術の実証に成功しています。 

この成功に先立ち、英国宇宙庁と欧州宇宙機関は、一度のミッションで役目を終えた複数の人工衛星を除去する衛星「ELSA-M(エルサ・エム、End-of-Life Services by Astroscale – Multi clientの略)」の継続的な開発のために、OneWeb社とのパートナーシップで進めるSunrise(サンライズ)プログラムを承認しました。2024年の打上げを予定しており、ELSA-Mはハーウェルのゼウス施設にて製造および運用され、責任ある持続可能な宇宙経済の開発に取り組む衛星コンステレーションの顧客向けの商業デブリ除去サービスを迅速に開発するためのプラットフォームを作成します。 

ハーウェルサイエンスアンドイノベーションキャンパスは、英国を代表するサイエンスアンドイノベーションキャンパスであり、200以上の組織、30億ポンドの国内施設、6000人以上の従業員を擁するイノベーションとテクノロジーの重要な中心地として国際的に認められています。 

ハーウェルサイエンスアンドイノベーションキャンパスの最高経営責任者であるスチュアート・グラントは、次のように述べています。 「専門的で高品質、かつスケーラブルな不動産ソリューションの提供を通じて、アストロスケールの急速な成長をサポートできたことを嬉しく思います。このゼウスビルの新施設により、革新的な商業提供をさらに発展させ、雇用を創出し、対内投資を促進し、そして国の宇宙部門の成長を促進することができるでしょう。」  

 

2022 年 10 月 4 日に科学大臣の発言を更新しました。

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新しい クリーンルーム