アストロスケール、経済産業省より宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術開発を受託
軌道上サービスに不可欠な要素技術の確立に貢献
持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(以下、宇宙ごみ、デブリ)除去サービスを含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングスの子会社で人工衛星の製造・開発を担う株式会社アストロスケール(本社:東京都墨田区、代表取締役 小山貴義、以下「アストロスケール」)はこのほど、経済産業省より、令和2年度補正宇宙開発利用推進研究開発(宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術開発)を受託したことをお知らせします。
人工衛星の寿命延長や燃料補給を含む「軌道上サービス」は、衛星運用コストの削減やデブリ発生抑止などの観点より、世界的に需要の拡大が見込まれています。同サービスの提供には、複雑な作業が多数必要であり、遂行のための宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンドの技術は、軌道上サービスの中核をなす要素技術とも言えます。また、米国政府が主導する月面探査・拠点建設活動(アルテミス計画)における要素技術としての波及も期待されています。
本受託契約は、このような状況を鑑み、令和2年度配分額として最大2.7億円を予算に、軌道上や月面の船外環境で複雑な作業を自律的に遂行できる、宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術の開発を支援するものです。アストロスケールを含む二社が採択され、具体的には、①汎用作業ロボットアーム・ハンド技術、②高度かつ低負荷な自律制御技術、③ロボット手先の転換を可能とするインターフェイス技術を含むロボットシステムの研究開発を3カ年度以内に行い、④軌道上サービスの市場動向や標準化動向等を継続的に把握・分析し、開発計画に反映させるとともに、開発成果を標準化活動機関へインプットすることを主な内容としています。
アストロスケール代表取締役の小山貴義は、以下のように述べています。
「世界的な宇宙経済のインフラを形成する軌道上サービスにおいて、ロボットアーム・ハンド技術は必要不可欠です。この技術を進展させることで、デブリ除去や衛星の寿命延長など、宇宙空間で遂行できる活動の幅が広がります。アストロスケールは、宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティー)を実現するためにデブリ除去などの技術開発を進めており、今回の受託契約を機に、ロボットアームの技術開発を加速していきます。」
また、軌道上サービスの提供には、衛星やデブリなど対象物体に接近しミッションを完遂するRPO技術※1 が必要であり、その先駆けとしてELSA-dの実証実験をこの夏より進めていく予定です。衛星運用者やロケット打上げ運用者のリスクを軽減し、費用対効果(ROI)を高めることのできる軌道上サービスにおいて、アストロスケールは要素技術のみならず、総合的に技術力を躍進させ、業界を先導していきます。
今年6月、G7加盟国は、デブリ問題を宇宙業界が直面する世界的課題の一つとして認識し、安全および持続可能な宇宙利用に取り組むとする共同声明を発表しました。この共同声明では、宇宙環境を保護するために、デブリ除去や軌道上サービスに係る官民の取り組みと、これらサービスのさらなる研究開発の推進を歓迎しています。アストロスケールは引き続き、業界団体や民間企業、政府機関と協力し、宇宙の持続可能性の実現に向けて取り組んでまいります。