米国アストロスケールが静止軌道(GEO)衛星寿命延長の軌道上サービス市場に進出

投稿日 2020年6月3日 カテゴリー ニュース

持続可能性な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(以下、宇宙ごみ、デブリ)除去サービスに取り組む、株式会社アストロスケールホールディングス(本社:日本、創業者兼CEO:岡田 光信、以下「アストロスケール」)米国拠点は、イスラエルで人工衛星寿命延長等のサービスを行う、エフェクティブ・スペース・ソリューションズ(Effective Space Solutions)社(本社:英国、以下「ESS」)の知的財産権を取得し、R&D拠点従業員を雇用する正式契約締結を発表します。アストロスケールは、この事業譲渡により低軌道(LEO)から静止軌道(GEO)までを対象とした軌道上サービスを提供する唯一の民間企業となり、次世代へ持続可能な軌道を継承するという、当社ビジョンの実現に向けた大きな一歩を踏み出しました。契約締結完了まで、規制当局の承認および慣習的な事業譲渡完了条件を満たすことが前提となります。

アストロスケール米国拠点、社長兼マネジングディレクターのロン・ロペスは以下のように述べています。「静止軌道上で人工衛星を取り替える度に何億ドルもの費用を投じるのではなく、軌道上の衛星をリーズナブルに寿命延長させること。それが、新たに加わった素晴らしい仲間や技術と描く、アストロスケールの事業機会です。当社はこれまで、低軌道上のデブリ除去サービスの先駆者として認知して頂いておりましたが、今度は静止軌道における衛星寿命延長サービスの分野も先導していきたいと考えています。アストロスケール米国拠点は、米国宇宙産業の一員として誇りを持ち、民間の衛星運用者や米国政府、世界中のパートナー機関へのサービス提供の開始を待ち望んでいます。」

アストロスケールイスラエル社は、当社米国拠点の子会社としてテルアビブ市に設立され、通信・ナビゲーション・安全保障等、静止軌道上における重要な人工衛星への寿命延長サービスのペイロードの開発を担います。米国拠点は、米国政府をはじめとした顧客の軌道上サービスの需要把握・供給に努めます。

ESS創業者兼CEOで、契約締結完了後にアストロスケールイスラエル拠点のマネジングディレクターへ就任するアリー・ハルスバンドは、以下のように述べています。「過去数年以上に亘り、私達の素晴らしいエンジニアチームが軌道上サービス市場を先導してきました。アストロスケールとビジョンや戦略を共にすることで、私たちの技術やプラットフォームが、静止軌道上の商業衛星や政府所有衛星、その他衛星に向けた、合理的なソリューションになると考えています。アストロスケールによるESS技術の取得は、これまでの取組みの実績への評価であり、同じチームの一員に加わることを非常に嬉しく思っています。」

ESS社は、複雑なGEOミッションやプログラムに対して経験が深く、市場の中で最も有望で斬新な軌道上サービス技術を開発してきました。これまで開発を手がけていた、スペースドローンプログラムの技術は、アストロスケール米国拠点が取り組む、衛星寿命延長サービスの基礎となり、更に進化を遂げるでしょう。現在、潜在顧客として議論を行う衛星運用者からも、衛星サービスとしての費用対効果が高く、革新性・互換性が高いとの評価です。

アストロスケール創業者兼CEOの岡田光信は、以下のように述べています。「世界は今、宇宙技術を利活用したサービスに依存しており、この新型コロナウィルスの影響でより一層その依存度は増していると言えます。アストロスケールの想いは、宇宙の持続可能性の実現であり、人工衛星の寿命延長サービスの技術獲得は、その目的実現のためへの大きな躍進と言えるでしょう。イスラエル拠点のメンバーをチームとして迎え、共にビジョンを実現できることを楽しみにしています。」

人工衛星の寿命延長等の軌道上サービス市場における売上げは、2028年までに40億米ドル規模になると試算されています。静止軌道衛星1機の打上げに対し、一般的には 200百万米ドル超のコストが必要と言われている為、代替機の打ち上げに代わり、既存衛星への修理や品質向上といったサービスの真価が認められることでしょう。

この軌道上サービスという新たな市場を開拓するべく、アストロスケールは今月、独立系データセンタープロバイダー株式会社アイネットを新たな投資家として迎え入れ、シリーズEの資金調達を開始しました。当社は、これまでの複数回の資金調達により、累計140百米ドル(約157億円)を調達しており、2020年中に達成予定のシリーズEにより、より強固なポートフォリオを構築し、デブリ低減のための軌道上サービスを加速する狙いです。

英語のプレスリリースはこちらからご覧ください 。